少年魔法士

幼少期にグィノー家へ引き取られ、悪魔喰いと称されるカルノ。
彼を香港へ呼び寄せたのは姉と慕うローゼリッテ。
発生していた切り裂きジャック事件を、魔法を使えないカルノの修行の場とするために。
しかし、ローゼリッテの戦いを見たカルノはかつて家族を殺害された場面を思い出し、魔法の力を暴走させた。

第1巻
1996/9/25

最終巻
2017/6/9

  • 作 者:なるしまゆり
  • 発売日:1996/9/25~2017/6/9
    全19巻(完結済)
  • 出版社:新書館

感想

カルノの回(1巻~2巻)だけ読んだ時は、あまりにカルノが独断的すぎて合わなくて気持ち悪くて、もう読むのをやめようと思ったのですが、巻数が進むにつれてそういった気持ち悪さは、私は薄れてきて、逆に何度も読み返す場面となりました。
主人公が変わったのは唐突すぎて置いてきぼりに。
勇吹の回はその後、別場所で真相が明かされるのですが、言葉1つ1つに想像させられて、そしてそれを同じように想像させられた勇吹の心情はもう、辛すぎて、私の中でも消えない痕になりました。

作者の言葉のセンスに脱帽します。
言葉しか出てこないページが多数あり。意味を考えるとどれも胸を衝くものばかりです。
2巻の途中から主人公が「勇吹」に交代し、彼が「カルノ」と合流してからはダブル主人公として話は進んでいきます。
状況もそうですが、人間の心情とか、言葉にならない想いとか信念とかを、すべて話の中で、言葉だけでなく、コマ割りの間やキャラの表情やモノローグで表しており、何度も読み返してようやく意味が染み込んでくると、最初は共感できなかったキャラにも共感してしまう。
登場するのは個性的な方々ばかりで、これもまた人間の心情を深く突くお話が多数散りばめられています。
最初から最後まで重たい切ないお話。でも主人公たちに共感してボロ泣き。
特に最後の方のカルノは壮絶。自分を自分たらしめるのは何か、というのは、永遠の命題だと思います。

メディア

1998/4/8 発売

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