ナースあおい

看護師「あおい」が患者への接し方について自分なりの信念を持って奮闘するお話。
ドラマにもなりましたが私は見たことがなく、全巻まとめ買いセールがあったので、せっかくだからと手を出してみました。

色々と周囲の軋轢がある中で貫くのは至難の業ですよね。
私は看護師じゃありませんが、職場で過去に「ノアが色々やるのはいいんだけど、周囲が何もしていないと思われてしまうから、もう少し自分の働き方を見直してみた方がいいよ」と言われたことがあります。
言われた瞬間は「何を言ってるんだろう、この人は」と思っただけでしたが、数か月後にそれを言った同僚が本社異動試験に合格して祝われているのを見て、非常に理不尽でした。

私が患者だったら自分の業務を要領良く回すだけの看護師より、色々と考えてくれるあおいに看て貰いたい、と思います。

書籍情報

第1巻

第32巻

  • 作 者:こしの りょう
  • 巻 数:全32巻
  • 第1巻:2004/07/23
  • 最終巻:2010/11/22

感想 <ネタばれ有>

全32巻 一気読み

果たしてこれはハッピーエンドなんだろうか。

読了後の爽快感はなく、ものすごくモヤモヤして終わりました。

主人公あおいは左遷されて過疎地の無医村に就任しますが、それは本人の能力を活かせるところですので、あおいにとっては良いと思います。非常にもったいないですが、必要としない病院にいても仕方ありません。無理にその場で頑張るよりも、必要性を認める人たちがもっと増えて、呼び戻してくれればいいな、と思いました。
ただ、緒田先生が追いかけてそこに来るのは私の中では絶対になしです。
結局彼は自分のこと、あおいのことしか考えてなかったということでしょうか。

今まであおいのために自分を曲げる、無茶をする、という所はありましたが、まさか最後の最後であおいを追いかけて来るとは思いませんでした。
通常業務で疲れ切っているのにあおいのために融通できるよう奮闘したり、人事に少し手を加えるようにしてみたり、そういうのは読者的に嬉しいところだったんですが、さすがにこれはない。
これまで彼を中心にして進めてきたプロジェクトをばっさり投げてあおいを追いかけてくるという、あまりにも無責任な行動に「は?」と、思わず声が出てしまいました。

これが、あおいに違法行為をさせないため一緒に過疎地に来たと言い訳しつつ、プロジェクト自体は東京に戻りながら進めていって、最終的にはそこで地位得て自分達の理想の医療を作り上げて、そして過疎地にも理想的な医療が浸透されるようになって、あおいを中央に異動させて、ますます理想の足場固めや周囲や働き手たちの士気向上を目指す、というところまで描かれてたら大満足なんですけど、そんな私の妄想はもちろん描かれてなく、ただ「追いかけてきました」って。なんだそれ。

たしかこの二人、恋人でもないんですよね。
態度はそんな感じだったけど告白したわけでもなく。

そう言えばあおいがことあるごとに過去を引きずってる描写もありましたね。
その伏線って、回収されていない気がします。
金ちゃんじゃなく、過去に付き合ってた男性? どっかの話で結婚するところでバッタリ、ってのはあった気がしますが、トラウマになった内容が。
あれ、描写されたっけ?

とにかくもやもやして終わった。
この最終話に入る少し前にはあおいが緒田とともに新病院に行けるような特別人事の描写があって、緒田もそれに希望を見せるような感じのがあっただけに本当に残念。
この期間に作者側に何かがあったとしか思えない方針の急転換です。

続きがあったら、二人がどうなったのか少し見てみたい気はしますが、なんだか期待を裏切られた感じがして、しばらくは再読もしたくない感じです。

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